ITが苦手な個人事業主ほど失敗しないIT導入の進め方とは

第1章｜なぜ「ITが苦手」は強みになるのか？

「ITが苦手だから…」「自分には難しそう…」そう感じて、ホームページや予約システムなどの導入をためらっていませんか？実は、その“苦手意識”こそが、IT導入を成功に導く一つの鍵になることをご存じでしょうか。

ITに慣れている人ほど、「とりあえず使ってみる」「なんとなく便利そうだから導入する」といった進め方をしてしまうことがあります。その結果、目的が曖昧なまま使いづらさを感じて放置してしまう、という事態も起こりがちです。

一方で、「よくわからないからこそ、慎重に導入を考える」姿勢を持つ方は、導入目的や課題の明確化を丁寧に行う傾向があります。たとえば「紙の予約管理だとダブルブッキングしやすい」「電話対応で施術が中断される」といった実際の悩みから出発するので、導入の目的が明確です。

つまり、「苦手」は失敗のリスクを下げるブレーキにもなるのです。

では、実際にどのようにITを導入すればよいのでしょうか？ここでは、失敗しないための3つのステップをご紹介します。

まず最初に、「何のために導入するのか」を言葉にしましょう。「予約の取りこぼしを防ぎたい」「営業時間外の問い合わせにも対応したい」「SNSと連携して集客につなげたい」など、できるだけ具体的に考えることが大切です。目的が明確になれば、必要な機能も見えてきます。

次に、目的に合ったツールを選びます。ここで重要なのが「自分で無理なく使えるか」「困ったときに相談できる窓口があるか」という視点です。たとえば、LINEと連携して使える予約システムや、テンプレートで簡単に作れるホームページ作成ツールなど、最近では非IT人材向けに設計されたサービスも増えています。

導入して終わりではなく、実際に使いながら「もっとこうしたい」「ここは不要かも」と見直すことが、長く活用するためのポイントです。1か月ごとに振り返る時間を持つだけでも、改善のサイクルが生まれ、導入したITの効果を最大化できます。

「全部自分でやらなきゃ」と思うと、それだけでプレッシャーになってしまいます。ですが、そもそも個人事業主のIT導入は一人で全部抱えるには限界があります。ITに関しては、最初から“頼れる人やサービスを巻き込む”という前提で進めた方がスムーズです。

例えば、予約システムの初期設定やLINE連携、GoogleマップやSEO対策までを一緒に整備してくれるサービスを利用すれば、自分は本業に集中できます。また、わからないことを「わからない」と言える関係性があると、途中でつまずいても立て直しがききます。

“わからないから不安”ではなく、“わからないからこそ、サポートを味方にする”という考え方が、IT導入の最大の成功要因と言えるかもしれません。

ITが苦手という自覚は、失敗を避けるための重要なブレーキになり得ます。だからこそ、焦らず「目的」を明確にし、「サポートがしっかりしていて自分に合ったツール」を選び、導入後も運用しながら改善していく——この基本を押さえることで、ITはあなたのビジネスを支える心強い味方になります。

そして何より、「ITに強くなること」ではなく、「必要なときに、必要な支援を受けられる状態を整えること」が、ITが苦手な個人事業主にとって本当に大切な力なのです。